本学部 菅野正泰教授が 国際学術会議ASBIF2026において Best Paper Awardを受賞
2026年6月25日
日本大学商学部の菅野正泰教授は、2026年6月22-23日にインドネシア・スラバヤで開催された国際学術会議Asia-Pacific Sustainable Business and Innovation Forum 2026(ASBIF2026)において、報告論文 “Climate risk and credit risk: Nonlinear and state-dependent effects of exposure under climate shocks” により Best Paper Award を受賞しました。
地球温暖化への対応は、いまや世界経済全体の重要課題となっています。2015年のパリ協定では、各国が温室効果ガス(GHG)の排出削減に取り組み、脱炭素社会への移行を進めることが国際的に確認されました。こうした流れの中で、企業活動や不動産市場も、異常気象の激甚化やエネルギー転換、環境規制の強化など、気候変動に伴うさまざまな影響を受けるようになっています。これに伴い、金融機関にとっても、気候変動が融資先や投資先の収益力、資産価値、返済能力にどのような影響を与えるのかを把握することが重要な課題となっています。国連環境計画金融イニシアチブ(UNEP FI)なども、金融分野に対し、気候関連リスクを信用リスク管理に取り込む必要性を提起しています。
今回受賞した研究は、こうした問題意識のもと、日本の不動産投資法人(J-REIT)を対象として、気候変動リスクが信用リスクにどのような影響を与えるのかを定量的に分析したものです。具体的には、各J-REITの温室効果ガス排出などに基づいて気候リスクへのさらされ方を測定し、財務データや市場データを用いて、企業の信用力との関係を検証しました。その結果、気候リスクへのさらされ方が大きいことが、平常時に直ちに一律の信用力悪化につながるわけではない一方で、気候関連ショックが強まる局面では、その影響が大きくなり、信用リスクが悪化しやすくなることが示されました。これは、気候変動リスクが金融面の脆弱性として平時には見えにくくても、ストレス時には顕在化しうることを示す結果であり、金融機関による気候リスク管理やストレステストのあり方を考えるうえでも重要な示唆を与えるものです。
ASBIF2026は、サステナビリティ、ESG、イノベーション、企業経営などをテーマとするアジア太平洋地域の国際学術会議であり、各国の研究者が最新の研究成果を報告・議論する場となっています。今回の受賞は、気候変動と金融リスクの関係を理論・実証の両面から明らかにした本研究の学術的意義が高く評価されたものです。
発表論文
Masayasu Kanno, “Climate risk and credit risk: Nonlinear and state-dependent effects of exposure under climate shocks”
論文のpreprintは以下のリンクより入手いただけます。
http://dx.doi.org/10.2139/ssrn.6725320
学会概要
・学会名:Asia-Pacific Sustainable Business and Innovation Forum 2026(ASBIF2026)
・開催日:2026年6月22日-23日
・開催地:インドネシア国スラバヤ市
・学会で発表された論文本数:約70編
・受賞名:Best Paper Award
以 上
(商学部)
