税理士とは、国が認めた税務の専門家のこと。「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」といった独占業務が定められており、それ以外にもコンサルティング・アドバイザリー業務、会計参与、記帳代行、行政や司法の支援などの仕事にも従事しています。税理士試験の科目ごとの平均合格率は10~15%と低水準。受験者8~10人に1人の割合でしか合格できないため、相当に難易度の高い国家試験だと言えるでしょう。

竹内さん:
税理士を目指そうと決めたのは、大学1年次の3月ごろでした。日商簿記検定1級に合格して、税理士試験の受験資格が得られたことがきっかけでしたね。また私の兄が大学生のうちから税理士試験の勉強を始めていて、その姿から影響を受けていたこともあったと思います。公認会計士を目指す道もありましたが、税理士試験では科目合格制が採用されているので、公認会計士試験と比べても楽な気持ちで臨めると思ったので、私は税理士を選びました。
伊藤さん:
私は大学1年次の11月に決心しました。その頃はコロナ禍で先行きが不透明に感じていたことから、日商簿記検定講座でお世話になった資格の大原の先生に就活や将来のことについて相談したところ、税理士を目指す道があることを教えてもらい、興味を持ちました。自分が学習している分野の中では最も価値のある資格でしたので、思い切ってチャレンジすることにしました。

竹内さん:
私は実家暮らしなのですが、家族が全面的に協力してくれたので、自分の勉強を最優先に行動することができました。また大学の友達には試験勉強に取り組んでいることを伝えていたので、飲み会や遊びの誘いはほとんど全部断ってしまいましたね。だからと言って疎遠になることもなく、今でもきちんと友達として親しく接してくれています。また資格取得学校では週に4回の講義を受けていたのですが、試験の直前には講義もなくなり、先生やまわりの受講生たちとの関わりが無くなってしまった時はとても心細く感じました。そんな時は教えていただいた先生のもとへ挨拶に行き、少し雑談させていただいたのですが、とても気持ちが安らかになりましたね。試験勉強に暮らしのすべてを捧げたわけですが、それをしっかり支えてくれた家族や友達、先生方には本当に感謝しています。
伊藤さん:
私は正直に言えば、試験勉強に時間を費やすことで友人は減ったと思います。試験勉強に加えてアルバイトも続けていたということもあるのですが、携帯電話をなるべく触らないようにしていたので、SNSの連絡が遅れたり、流行に疎かったり、大学内でも食事の誘いをほとんど断っていたので、自然と疎遠になる友人も多かったですね。しかし、そのような中でもずっと気にかけてくれ、根強く関りを持ってくれた友達や、同じ目標に向かって一緒に学習に取り組んだ仲間たち、支え続けてくれた家族には本当に感謝しています。睡眠時間が充分にとれず身体的に辛かったり、模試の点数が思うように上がらず精神的にまいってしまっていた時などには、間違いなく私の心の支えでした。

税理士試験は全11科目のうち、会計2科目と税法3科目に合格することが必要です。『大学在学中に1~2科目に合格し、残りの科目を1科目ずつ社会人になってから』というのが一般的な受験生の“道のり”です。ただし、働きながらの学修は思った以上に大変です。この試験は一定量の勉強をこなさなければならず、仕上げるのに相当時間が掛かります。今回のお二人のように、時間のある1年生のうちから、しっかりとゴールを見据えて大学生活を送ることが、税理士試験合格への最も有効な“道のり”となります。

伊藤さん:
在学中に税理士試験に合格したことで、自分の価値を最大限に高めることができるようになったと思います。そしてそのことは就活市場において圧倒的に有利に働くと思いますね。また受験生活を早めに終えることができたので、自分の理想とする税理士像に向けて、別の勉強を始めることができるようになりました。私はいま英語学習や受験科目に選択しなかった税法科目の学習に励んでいます。将来、自分がなりたい税理士像に近づくための勉強時間を作れることが、在学中に5科目合格を達成する大きなメリットだと思います。
竹内さん:
私も同じように感じています。働きながら税理士試験を目指す人は、試験勉強と仕事を両立しなければなりません。私たちのように時間のある学生ですら税理士試験は大変だったのに、働きながらこれを目指すとなるとその大変さはちょっと想像できません。その点、在学中に合格してしまえば、就職先での仕事に集中でき、そこから多くのことを吸収できます。やりたい仕事に専念できるようになることが大きなメリットだと思います。

竹内さん:
私は、常に相手に寄り添える人になりたいと思っています。自分自身が試験勉強をしてきた中で、ゼミナールでお世話になった平野先生をはじめとする大学の先生方、資格取得学校の先生方や友達、そして家族からのサポートがいかに大事だったかを実感しました。自分ひとりの力では、ここまでの結果は得られなかったと思います。このようにして私が受け取ったものを、今度は他の人に渡してあげられる人になりたいです。税理士にもさまざまな分野での活躍の場がありますが、お客様の信頼を得て、二人三脚で仕事をしていきたいと思っています。
伊藤さん:
税務を通じて経営に携わることができる税理士になりたいです。税務リスクは経営活動に必ず付きまとうものである半面、これらの包括的なコンサルティング業務、法人税務、国際税務といった複雑なものは税理士の中でも限られた人しかこなせない業務だと思っています。私はこれらの業務を通じて、この分野での唯一無二の人物を目指したいと考えています。

  • 商学部の学生向けに、資格取得に挑戦する15の講座を開講しています。各講座は充実した内容で、専門学校に通うことなく学内で十分に学べるのが特徴です(一部は学外の施設で受講)。しかも、専門学校より比較的安い費用で受講できます。将来の目標に向けて、積極的にチャレンジしましょう。

  • 資格取得支援の一環として、合格した資格試験などにより、単位として認める科目が設けられています。対象となる資格は以下の通りです。

  • 「資格等取得奨励金制度」は、商学部において定められた資格試験等に合格または一定の成績を達成した学生に対し、奨励金を給付する制度です。2012年度から始まり、2024年度で13年目を迎えます。年々、奨励金の給付額が増加しており、学生の資格取得への熱意がうかがえます。さらに、資格取得は就職活動においても有利に作用します。

私は何より、勉強の質より量を意識しました。とにかく時間を確保して、多くの問題に繰り返し向き合うこと。試験の直前には覚える理論や模試などのサイクル表を作り、大切な内容に触れ続けました。また毎日同じような生活をすることで、勉強を習慣化することも意識しましたし、昼ごはんのメニューは曜日で決めて何を食べるかを迷わないようにするなど、勉強時間の確保に努めました。

大学1・2年次では、できるだけ多くの単位を修得することを意識しました。
大学2年次の9月から「法人税法」の勉強を始め、順調に単位を修得してきました。これにより、3・4年は余裕ができるので、やり込めば差が出る「所得税法」と「相続税法」に取り組みました。また、令和5年度からの税理士試験の受験資格要件の見直しにより、受験しやすくなったことから、今から勉強を始めるなら、大学2年次の必修科目との調整を考慮しながら、余裕があれば「消費税法」も学ぶことを検討していたと思います。
はじめて学ぶ税法は、会計科目と違ってやりづらさを感じることが多くあると思うので、そこで勉強方法や税法の解き方を固めるのが大事だと感じています。そのため、最初に受験する税法科目を合格できるかどうかが在学中5科目合格達成の鍵だと思います。

少しでも時間を無駄にしないことを心がけました。歩きながら、あるいはアルバイト中に時間があるときなどは頭の中で暗記項目を反復。電車の中では絶対にテキストを開くようにもしていました。そのなかで特に気をつけていたことは、1歩目を大事にすることです。勉強も一人暮らしの家事も、私にとっては始める瞬間が最も辛いという自覚があったので、そこであえて踏み出すことを大事にしていました。

大学の履修計画も、税理士試験受験を見据えたものにしました。
学習スケジュールは必ず週単位で用意しましたが、記憶に残りやすくするため週のうちに3回同じ内容を学修することを意識しました。
学修は主に法学部、経済学部の図書館で行いましたが、商学部の授業がある日は商学部の図書館を利用していました。たまに公園や資格取得学校の自習室を利用するなど、勉強場所を変えることで気分転換をはかっていました。

伊藤さん:
これから税理士試験を目指す人、いま税理士試験の学習に励んでいる人にはぜひ、大学在学中の5科目合格を目指してほしいと思います。一見無茶なことにも思えるかもしれませんが、目標を高く設定することが合格を早めることに繫がるのではないかと思っています。私たちの結果が皆さんの目標設定の一助になれば嬉しいです。
竹内さん:
税理士試験は長期的な戦いになります。そのため継続して勉強することが何よりも合格に向けた近道です。大学生は社会人に比べて時間の確保がしやすいので、そうした勉強が許される時間を大切にしてほしいですね。また日本大学商学部は、他大学と比べても、会計系の資格取得に対する奨励金の金額が高いと言われています。さらに単位認定制度により、資格を取得することで大学の単位も修得でき、その分の時間を有効活用できると思います。試験勉強をしていると大変な時期があると思いますが、どうか諦めずに前を向いて頑張ってください。税理士受験生の1年でも早い合格を祈っています。

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