今回の砧祭は50回目の節目となるものでした。ですが実際には昨年が50回目にあたる年で、コロナ禍の影響でミス・ミスターコンテストのみの開催となってしまったため、先輩たちから「50回目」を譲ってもらった形になります。華々しく開催できない状況ではありますが、砧祭は学部の一大イベントであり、続けていくべき伝統だと思います。先輩たちから受け継いできたものを、途絶えさせることなく次の世代に伝えたい。そんな思いを込めて、今回のテーマを「輪」としました。
異例のオンライン開催、しかも昨年はミスコンしか実施していなかったため、実行委員は未経験同然の状態から企画をスタートさせました。しかも途中まではリアル(対面)とオンラインの両方を開催する予定で進めていたので、企画をたくさん設ける必要がありましたし、人手も足りずとても大変でした。困った時には先輩たちからの情報収集に努めましたが、最終的には私たちが好きなようにやろうと決心しました。事前収録用の曲選びの際は、著作権に触れないよう注意をしたり、YouTubeのライブ配信の審査申請を忘れていたりと、初めてづくしのことで大変だった準備期間。それでもオンラインならではのプログラムを作り上げ、砧祭として新しい一歩を踏み出せたのではないかと思っています。
近年ではミスコンへの風当たりが強くなっています。それは人を見た目で判断して良いのかという、いわゆる「ルッキズム(外見至上主義)」への配慮からです。そこで私たちは、外見のみではなく内面の魅力で競う新しいスタイルのミスコンにチャレンジしました。出場者のSNSでは開始から3週間は顔も性別も明かさず投稿内容だけで「いいね」の数を競い、コンテスト当日のステージ上ではそれぞれの個性や特技を披露してもらうという二段階方式を導入。また、はじめて審査員を導入し審査基準を徹底してもらうなど、さまざまな配慮のもとコンテストを行いました。
ミスコンでは、出場者一人ずつに実行委員がマネージャーとしてついてサポート。SNSの投稿の相談にのったり、協賛企業からの締切を忘れないようスケジュール管理も行いました。そのようななかで、出場予定者がやむを得ない理由で2名も途中辞退してしまい、今年のミスコンは開催できるのか、できたとしても盛り上がりに欠けるのではないかと心配していました。しかし、蓋を開けてみると予想以上に多くの方に視聴していただけ、YouTubeの配信にもたくさんの視聴者コメントが寄せられていました。出場者も大いに楽しんでくれていましたし、実行委員も涙あり笑いありで感動の終幕。この企画は大成功と言えるのではないかと思っています。
今回の砧祭で最初に実施された企画がKFC(Kinuta Fashion Collection)でした。学部内のおしゃれな人を紹介し、その人のこだわりや内面を知ってもらう企画です。実行委員会が決めたテーマに沿って、出場者自身が考えたコーディネートを披露してもらいました。今回のテーマは「クリスマスのデート」。例年であれば男女がチームを作ってカップルでのコーディネートを披露してもらうところなのですが、コロナ禍に配慮して単独での紹介となりました。
今回のKFCには男性3名、女性1名が参加してくれたのですが、当初は男女3名ずつが参加する企画にしたいと考えていました。しかし参加してくれる人がなかなか集まらず、実行委員で手分けして200人以上に声をかけたと思います。中には声をかけて冷たい態度をとられたこともありました。KFCは開催できないのではないかとすら思ったこともありましたが、開催できたことに一安心でした。砧祭のオープニングを飾る企画ですし、失敗すると後の企画の盛り上がりに関わるというプレッシャーもありましたね。
私たちが手掛けた今年の砧祭は終わりましたが、本当に異例続きの内容だったと思うので、来年度に向けて後輩たちに財産と呼べるようなものを残すことができたのかは正直わかりません。ですが、来年度がどのような形で開催されるとしても、私たちはしっかりと後輩たちをサポートしていきたいと思います。そして学園祭を企画することが楽しい、実行委員会で活動することが楽しいと思ってもらえる環境を作り続けてほしいですし、何より後輩たちには来場者が楽しめるように、まずは自分たちが楽しめる自分たちの砧祭を作ってもらいたいと思います。