本選プレゼン中の様子

私たちのチームでは、コロナ禍における大学生のストレスに注目し、音楽によるストレス軽減法をテーマとしてプレゼンを行いました。在宅で勉強を続ける大学生のストレスが社会問題となっていましたし、小島ゼミは科学技術史を研究テーマにしているので、他のゼミが扱わないテーマを自分たちの武器にするという思惑もありました。音楽療法としてストレス軽減効果があると言われている「1/fゆらぎ」理論は正しいのか、どのような音楽を聴けばストレス軽減効果が得られるのかについて、ストレス測定実験を行って調査しました。結論の部分では、日常的なストレスの可視化が重要であること、またストレスの可視化に大きなビジネスチャンスが隠されているなど、商学部生らしさにこだわりました。

ストレス測定実験は、当初は気軽に測定できるスマートフォンアプリを使用して行いました。「1/fゆらぎ」を持つ音楽を聴けば、ストレス軽減効果がでると予想して実験に臨んだのですが、結果は“1/fゆらぎ自体にストレス軽減効果は認められない”というものでした。この結果に焦りを感じて、信憑性のある医療用の測定器をレンタルして再度測定を行ったのですが結果は変わりませんでした。そこでアプローチを変え、各人が好きな曲を聴いた際のストレス軽減効果を測ったところ、もっとも高い効果が得られることがわかりました。この結果を受けて、どのようにして結論へとつなげるか、メンバー全員でとても悩みました。最終的にはストレスの可視化に注目して結論づけることができたので、さまざまなトライ&エラーを繰り返したこと、みんなで悩みながら議論したことは無駄ではなかったと思います。

プレゼンの当日、講堂には審査員の方々に加え、他ゼミの学生や学生団体など多くの人たちが集まりました。この規模のプレゼンはメンバー全員にとって初めての経験で、なかには足が震えていた人もいたほどです。しかし、練習の成果もあって特に大きなミスはなく、心配していた質疑応答にも、しっかりと対応できました。そして最優秀賞をいただくことができたのですが、賞をいただけたことよりも、長い時間をかけてチームで同じテーマに向き合い、追求することができた達成感のほうに価値があるように思います。日々の努力の積み重ねの重要性をひしひしと感じることができました。今回の経験は、今後の授業や研究、卒論制作においても糧となるでしょうし、また社会に出た後も成功体験として役立つと思います。

岡田ゼミ:私たちは、コロナ禍においてアメリカやドイツではテレワークが浸透しているのに、なぜ日本では浸透しないのかをテーマに討論を行いました。岡田ゼミの基本スタンスは、テレワークの普及にはある程度成功しており、時間効率の向上やコスト削減など、さまざまなメリットが明らかになったため、コロナが収束した後も普及し続けるというものでした。さまざまな資料やデータをもとに考察すると、コロナ後は出勤とテレワークの割合が半分程度になるだろうと予測できました。

時田ゼミ:それに対して私たちは、テレワークにはたくさんメリットがあるにもかかわらず、最初の緊急事態宣言が解除されると、また元の出社する仕事形態に戻りつつあったことに着目し、その要因は日本人特有の同調圧力ではないかという論旨をまとめることにしました。欧米では仕事が個人に振り分けられているのに対し、日本ではプロジェクト単位など、グループで進行する場合が多く、上司や先輩が出社するなら部下もといった無言の圧力があるからではないかと思いました。

岡田ゼミ:オンラインでの討論はあまり経験のないものでしたが、時田ゼミのみなさんとは建設的な意見を交わすことができました。出社には社内のコミュニケーションを向上させるなどのメリットがあり、逆にテレワークにはストレス軽減や効率の向上などのメリットがあるので、双方のメリットを十分に理解しながら、状況に応じて使い分けていく必要があるという結論に至りました。

岡田ゼミ:時田ゼミは、とにかく情報収集能力に長けていることがとても印象的でした。説得力のある情報が多く、メンバー一人ひとりがその内容をきちんと自分の意見として消化できていたことに驚きました。討論のなかで、時田ゼミの論旨とアンケート調査の内容に矛盾を感じ、指摘したという場面があったのですが、彼女たちはその指摘すら想定していて、まったく焦ることなく落ち着いて対処していました。その引き出しの多さには感服しました。

時田ゼミ:私たちは3人のチームですので、一人ひとりの負担は大きかったのですが、その分チームの意見はまとめやすかったと思います。でも岡田ゼミは8人のチームですよね。各々の意見を集約して、なおかつ討論の場では私たちが考えてもいなかった質問をされたり、人数が多い場合のメリットをしっかりと発揮できていて素晴らしいなと思いました。

岡田ゼミ:8人のメンバーをまとめてひとつのゴールへ向かうことには、かなりの苦労がありました。メンバーそれぞれに作業を割り振るだけでも大変でした。しかしメンバー間で意見を交換したり、時田ゼミのみなさんに相談させてもらったりしながら、徐々にチームとしてまとまりがでてきたと思います。実際、討論のブレイクタイムではメンバー全員から積極的な意見が次々に出て、発言に迷うことは一度もありませんでした。人数が多いことが頼もしいとすら思うことができました。

時田ゼミ:私たちも意見が対立することは多々ありましたが、考えてみると、自分の意見をしっかりと述べること、相手の意見をしっかりと聞くことは普段の生活ではなかなかないことです。真剣に意見をぶつけあうという体験は本当に貴重だと思いました。当初はインゼミ大会に出ること、討論を行うこと自体も気が進まないと感じることがありましたが、結果として素晴らしい経験になったと思います。

時田ゼミ:インゼミ大会に向けた準備に約5ヶ月間もの時間を費やしたのですが、こんなにも長い時間をかけて、ゼロから何かを作るという経験は初めてでした。論文を読むこと、探すことも初めてで、先生からアドバイスをいただきながら情報収集を進めましたが、そこから自分たちのテーマに合致する情報を選別することも大変でした。しかし、こうして資料を調べ、意見をまとめ、相手に伝わるようにプレゼンし、相手の意見に対して自分の意見を述べるという一連の作業は、社会に出てから当然のように求められるスキルだと思います。それを今できたことは、私たち全員にとって、とても貴重な経験だったと思います。

岡田ゼミ:討論部門の醍醐味は、あらかじめ自分たちの意見を準備しつつも、自分たちとは異なる相手の意見を聞き、それに対する仲間の意見も聴き、自分たちの意見をどんどん発展させながらさらに相手に意見をぶつけることができるという点だと思います。そして最後は相手チームと結論を出し合うことで、プレゼン部門にはない充実感や達成感が得られるのだと思います。就職活動の時、また就職先の会議でアイデアを求められた時、討論で培った経験やスキルがきっと活きてくると思います。

各ゼミとも、研究テーマに対して、異なる意見から仮説を立てて解を導き出す過程の中で、さまざまな衝突や葛藤があったと思います。私はそれらのすべてが、学生の成長に必要な経験なのではないかと思います。目標に向けて仲間と一緒に頑張ることを、しっかりと噛みしめてほしいと思います。
コロナ禍による制約がある中、調査・研究をリモートで行うなど工夫しながら準備されてきたことが伝わり、すべてのチームが素晴らしい内容であったと思います。Z世代の視点から取り上げられた社会問題や経済の課題は、私自身、とても参考になりました。
各チームとも念入りに準備をされ、大会に臨まれたのがよく伝わりました。ゼミでの時間や経験を宝物にするか、ただの時間の浪費とするかはみなさん次第です。ぜひ真剣に取り組み、仲間と熱く議論し、互いに認め合い成長し、何かを成し遂げたあとの達成感を味わってください。その経験は、社会人になって苦難にぶつかった際に自分を助けてくれると思います。卒業後に振り返った時に、学生時代の時間を「いい思い出」だけでなく「宝物(貴重な経験)」と思えるように、ぜひ今を頑張って過ごしてください。
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