「#ワークマン女子」の新店舗、アルカキット錦糸町店に設置する「思わずSNSに投稿したくなるフォトスポット」の企画・開発に取り組んだ水野ゼミチーム。ゼミの活動の1つである産学連携プロジェクトで、ワークマンについて研究しているゼミ生が広報の方に取材をさせていただく機会がありました。その場で学生ならではの意見をぶつけたところ、『それならばフォトスポットを実際に作ってみないか』とのお誘いがあり、プロジェクトがスタートしました。

須澤さん

「#ワークマン女子」は、既存店舗の入口にもフォトスポットを設置していて、SNSで拡散されることを狙っていたのですが、私たちから見ると改善すべき点がたくさんあるように思いました。具体的には、従来は「カワイイ」や「カラフル」といった方向性の展示が多かったのですが、私たちはそこに「シュール」というキーワードが欲しいという提案を行いました。いまカプセルトイなどでも、動物が椅子に座ってお茶を飲んでいるような、ちょっと不思議でシュールな世界観のフィギュアに若い女性からの注目が集まっているので、その要素を取り入れることで「映え」スポットが作れるのではないかと考えたんです。

松本さん:プロジェクトは、もちろん順調なことばかりではありません。相手はワークマンという有名企業ですから、私たちが意見を述べて良いものか、はじめはとてもナーバスになっていました。しかし水野先生から「せっかくこういう場を設けていただいているのだから、自分たちの気持ちを正直に伝えなければ逆に失礼だ」と声をかけていただき、チームの中でスイッチが入ったと思います。そこから自分たちの意見をしっかり伝えられるようになりました。

フォトスポット:「わ」のミラー

松﨑さん:一番大変だったことは、PCの画面や紙の資料に描かれていた展示物のサイズ感のイメージと、実際に店舗に設置されるオブジェのサイズに、大きなギャップがあったことでした。もちろん資料にはオブジェのサイズは記載されていたのですが、頭でイメージしていたサイズ感と実物のサイズ感に乖離があり、しかもそれに気づいたのが店舗オープンの前々日でした。自分たちのイメージに少しでも近づけられるよう、夜遅くまで調整する必要がありました。実際の大きさをきちんと想定しながらプロジェクトを進めるべきだったと反省しています。

フォトスポット:ゴリラとキャンプデート 設置中

フォトスポット:ワの視力検査

フォトスポット:RGBライトの試着室

増田さん:プロジェクトを進めるにあたり、私たちも市場分析や競合分析などを行ったのですが、そのようなことは当然、企業の方も以前から行っていることで、そこから彼らを驚かせるようなアイデアを生み出すことは不可能です。それよりも、私たちに求められているのは『学生目線』の意見や考えであり、自分たちの意見を素直にぶつけた際には、とても驚かれ、喜んでいただけました。そのことに気づいたときに、自分が成長していることを感じました。
平井さん:今回学んだと思う点は、人と意見をぶつけ合いながら物事を発展させていくことです。フォトスポットということで「映える」「映えない」を議論する機会が多かったのですが、自分が「映える」と思ってもチームメンバーには「映えない」と判断されることがよくありました。同年代ですらそうなのですから企業の方とのギャップはなおさらです。相手の意見を聞きながら調整していく、そんな機会が多く得られたと思います。

オープン前日のインスタライブ配信の様子

宮繁さん:企業の方やデザイン会社の方たちと何度もやりとりし、お互いの意見が食い違いながらも、自分たちの意見を妥協せずにしっかりと伝えることができました。実際の店舗で、形になったフォトスポットを見た時には、大きな感動と達成感がありました。 須澤さん:企業とのやりとりのなかで、自分のイメージを言語化し、相手に伝えることの難しさを初めて知る機会となりました。また実際に出来上がった“ゴリラとのキャンプデート”の様子を、一般の方がSNSに投稿してくれているのを見て、自分たちが考えたものが人にしっかりと伝わっていることにとても大きな達成感を感じました。

松本さん:私は考え続けることの大切さを学んだと思います。出来上がったものを見て達成感はもちろんあるのですが、オープン後の店舗を見に行くと、想定したとおりに機能していないスポットがありました。なぜこうなったのか、どう改善すれば良いのかなど、今後も継続して考えなければいけない点が多くあります。プロジェクトは終わっても、そこから始まるものもあるのだと感じました。

フォトスポット:落書きできる鏡

松﨑さん:私は行動すること、実践することの大切さを学びました。企業が相手ではありましたが、まず発言してみる、率直な意見をぶつけてみることが大切で、それに対して相手から返ってきた意見などを参考にしながら改善していく。この繰り返しが何事においても大切なんだと感じました。
竹川さん:ワークマンさんとの打ち合わせの中で、先方からの提案をすべて却下したことがありました。これはプロジェクト当初の私たちでは考えられないことでした。先生からも言われたことですが、企業が相手であっても良くないものは良くないとしっかり意見することが、結果として良いものを作り上げるために必要なんだと学ぶことができました。

学生による商品企画・マーケティングコンテスト「Student Innovation College(通称Sカレ)」において総合優勝を果たした水野ゼミ「チームえばぐりん」は、「もらってウレシいクリアシート小物」をテーマに、部屋に出没した虫を逃がすアイテム「むしキャッチリー」を開発。防虫、殺虫に次ぐ新たな「逃虫とうちゅう 」市場を開拓しました。

池上さん

Sカレに向けた活動を開始して最初の3ヶ月は、とにかくチーム全員でアイデアを出すことに費やしました。さまざまなアイデアが出たのですが、どれも決め手に欠けるものばかり。ある時、クリアシートが透明であることから派生して「目の前にあるものを透明にできるとしたら何を透明にしたい?」を大喜利みたいにゼミ生に聞いてまわったところ、多くの人が「虫」と答えたんです。確かに一人暮らしの部屋に虫が出たら捕まえるのに困りますから、ここに需要があるかもしれないと、虫をキーワードにした商品を考えることにしました。

虫にかぶせて取っ手をひっぱるとカンタンに捕まえられる

村上さん:活動全体を通じていくつかの壁があり、それらを乗り越えることで徐々に自信に繋がっていったと感じています。まず第1は、クリアシートで商品のプロトタイプを作り、それを使って実際に虫を捕まえることができたことです。第2に、開発した商品の販路を開拓する過程で、ドラッグストアやさまざまな企業に企画書やメールを送っていたなか、とある大企業に興味を持ってもらえたこと。その時の最終的な結果はいまひとつでしたが「むしキャッチリー」の可能性を感じることができました。第3に、TikTok。InstagramやTwitter、FacebookといったSNSでも情報を発信していたのですが反応は芳しくなく、最後に使ってみたのがTikTokでした。それまでメンバーの誰もTikTokを使っていなかったのですが「むしキャッチリー」でクモを捕まえる動画を上げたところ大きくバズったんです。これをきっかけに、プロジェクトがどんどん好転していきました。何ごとも諦めずに試してみる、行動することが大切だと学んだ瞬間でした。

池上さん:コロナ禍ということもあり、メンバーで顔を合わせる機会を減らし、ミーティングも資料の共有も、できる限りオンラインで行うように努めました。ミーティングの時間を作るために、メンバー同士でバイトの時間を調整するなど、小さな工夫はたくさん行いましたね。
村上さん:オンラインのミーティングなので、移動時間や距離を気にする必要がなくなったのが意外なメリットだったと思います。企業の方も、オンラインであれば比較的気軽に時間を割いてくださったり、デジタルを活用したことで、むしろ効率よく進められたと思います。

組み立て方法や使い方、
商品を購入された方へのメッセージも同梱

村上さん:自分たちのアイデアを1から商品化する。これは大学生ではなかなか体験できない貴重な経験でした。この中で、ゴールや目的を達成するために、今やるべきことを見極める力を養えたと思います。これは自分にとって大きな成長だと思いますし、社会に出た後にも、きっと役に立つ力だと信じています。
池上さん:私はもともと効率重視の考え方を持っていたのですが、このプロジェクトにおいては、ダメでもともとと思いながら企業に企画書を送ったり、使ったことのないSNSを使ってみた経験から、とにかくできることは何でもやってみることが大事なんだと学びました。結果として行動力が身につき、肝が据わった感覚すらありますね。

「課題解決プロジェクト」は、企業から与えられた課題に対し、大学生が解決策を考えて応募する企画アイデアコンテスト。今回の課題は、第一生命保険株式会社が提供した「あなたの親御さんの姿から『自身が20年後になりたい姿』を想像し、『今のうちから利用したくなる健康支援サービス』を当社の社員になったつもりで創ってください」というもの。「チーム変化球」は従来の保険にメンタルヘルスという新しいアプローチを加え、その独創性と完成度の高さから、見事第1位の座を獲得しました。

平田さん

まずは今回のテーマにある「20年後になりたい姿を想像して」というフレーズを自分たちに置き換えて考えるところから、企画をスタートさせました。話し合いの末、精神的に余裕がある状態こそが理想的な姿だと結論。肉体的な健康ではなく精神的な健康を目指したいと思ったのですが、保険会社のサービスや取り組みを調べてみると、精神面を取り扱っているものがほとんどないことに気づき、メンタルヘルスという方向からアプローチすることにしました。もうひとつのキーワードであるDIYは、テレビでDIYを通じた地域交流を紹介していたのを、興味深いと思って私がメモをしていたことがきっかけです。DIYで精神的な充足を得るという施策は、今回の企画に最適だったと思います。

内田さん:今回の企画がこのような結果を得られた大きな要因は、チームのバランスが絶妙だったということにあると思います。平田君はアイデアを次々と出して議論を広げる役割、私と尹さんはそのアイデアを精査してしっかりと着地させる役割。適材適所という言葉がぴったりと当てはまるくらい、3人の特性がしっかりと噛み合っていたからこそ、良い提案ができたのだと思います。チーム分けはあみだくじで決まったものだったのですが、このめぐり合わせは奇跡的でしたね。
尹さん:提案したサービスについてかなり細部にまで深堀りできたことも勝因の1つであると感じています。まだどこにもない新しいサービスですから、サービスの実行段階でいくつか問題が発生することが予想できます。それを予測したうえで企画書に解決策を明記したことも良い評価につながった理由だと思います。

内田さん:今回はプレゼンもなく、企画書だけで評価されるコンテストでしたので、企画書づくりにはかなり悩みました。空き家DIYという新しいサービスを、文字と図表とイラストだけで説明し、それを審査員にアピールしなければなりません。どのような順番で、どのような言葉を使って説明するべきか、先生からもアドバイスをいただきながら、3人で話し合い、制作を進めました。
平田さん:企画書内に写真やイラストを使うことでイメージを伝えやすくなるケースもありますが、今回は保険という目には見えないサービスなので、ほとんど使えるものがありませんでした。言葉の重要性が高くなるので、かなり気を遣いながらの作業でした。

内田さん:ゼミナールも大半がオンライン授業だったので、このチームが作られるまで3人ともほとんど面識がない状態でしたが、プロジェクトに取り組む過程で、本当にたくさんのやりとりを行いました。その結果、コミュニケーション能力は自然と身についたと思っています。
尹さん:このプロジェクトが始まった当初、私は自分の意見を発信することが苦手でしたが、チームでの打合せを繰り返すうちに、自然と意見が伝えられるようになっていました。また自分と違う意見を聞いてそれを受け入れ、自分の考えを含めて調整していくというスキルが身についたと思います。
平田さん:今回の課題にチャレンジして企業側からフィードバックをいただけたことで、自分に足りないものがわかったような気がします。それはアイデアを言語化して相手に伝えるスキル。これは自分への課題として今後も取り組んでいきたいと思います。また次のコンテストも控えていますので、新しいチームでチャレンジしながら、スキルを高めていきたいと思います。

「チーム変化球」と同様、「課題解決プロジェクト」における第一生命保険株式会社の課題に取り組んだ「チームD4」。若者は保険への関心が低い一方、美容には興味があり、特に将来の薄毛に不安を抱いていることを独自の調査で導き出し、女性向けの薄毛治療費に関する保険を提案、見事佳作を受賞しました。

佐々木さん

まずは2週間ぐらいをかけて第一生命保険を含めた保険業界について徹底的に調査することから始めました。その後も、既存のデータ収集に加え、メンバーそれぞれの親へのインタビュー、またGoogle Formsでアンケートを作成し、それを友達やSNSで拡散して、できるだけ多くの回答を得ようと努力するなど、とにかく調査と分析を繰り返してきました。最終的に女性の薄毛の問題というテーマを発見し、佳作に選ばれるまで精度を高めることができたのも、すべて調査と分析の賜物だったと思っています。

中田さん:最終的に女性の薄毛の問題をテーマにしたのですが、途中までは男性の薄毛をテーマにしようと考えていました。ところがさまざまなデータを収集し、アンケートを分析するなかで、男性は、実はあまり薄毛に関心がないという事実に行き着いてしまったんです。薄毛になることは諦めているとか、治療をしても意味がないと考えている人が多いのだと思います。そこで女性について目を向けてみると、若者は保険への関心は低いものの美容には興味があり、さらに将来薄毛になってしまうことに強い不安を抱いていることが分かりました。女性向けの商品であれば可能性が感じられ、しっかりと利益を出せるのではないかと考え、ターゲットを女性に切り替えました。今思うと、この瞬間がターニングポイントだったと思います。

矢野さん:もっとも苦労した点は、サービスの価格を決定することでした。それまで利益の出し方について考えたことがなかったので、算出方法などについてもかなり調べたのですが、参考となるものが見つけられなかったんです。困り果てて先生に相談したところアドバイスをいただき、それをもとに3人で打合せを繰り返して、ようやく決定することができました。またサービスのネーミングに関しても、最後までかなり難航しました。当初は「薄毛貯金」にしようと考えていたのですが、先生から「女性が加入しやすい、おしゃれなものを」とアドバイスをいただき、全員でさまざまな方向からネーミングを考えました。すると北欧神話にある女神が、綺麗な髪を一度失い再び取り戻すという逸話があることを突き止め、迷わずその女神の名前「Sif(シブ)」をサービス名としました。

佐々木さん:私は今まで消費者の立場でしか商品やサービスを見ることができなかったのですが、今回のプロジェクトで、自分より上の世代の方の視点や、企業側の視点でものを考えるという体験ができました。これは私には新鮮な体験でしたし、成長できたといえるポイントになったと思います。
矢野さん:調べ物にはとにかく時間がかかりますし、データは充分に集まったと思っても不足分が見つかるなど、とても苦労が多かったです。しかし、終わってみると非常に大きな達成感を感じることができましたし、楽しかったとさえ思えました。
中田さん:アイデアを出して、それを根拠のある提案として高めていくこと。そのプロセスというのは、通常の授業で学ぶことは難しく、ゼミに入ったからこそ経験できたのだと思います。今回のプロジェクトを通じて学んだことは、今後も、さらには、就職してからも役に立つと思っています。

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