「商品の意味」が問われる現代社会

商学部の「商」の字は中国の言葉に起源をもち、「商品の流れ」が生産と消費のバランスをとるという意味から、今日では広く流通という意味でとらえられています。「商品」(財・サービス・知的財産権)の取引は、「流通」と呼ばれ、財やサービスが需要と供給のバランスをとるように、さまざまな形態があります。しかし、今日では生産されたモノやサービスがあふれて消費されない現象がよく見られます。

商学部には、流通・マーケティングを学ぶ商業、組織や戦略について学ぶ経営、取引を記帳する簿記にはじまる会計をはじめ、経済学や法学などの多様な学問分野があり、「商」についてさまざまなアプローチで学ぶことができます。需要を供給が上回る先進国では「何を」生み出すべきか、つまり「商品」が一番のビジネステーマです。かつてはモノを作って売るだけでビジネスは成り立っていましたが、現在では顧客が何を欲しているのかをマーケティングによって把握することがとても重要で、企業はそのために莫大なエネルギーと人を投入しています。経済において、モノの製造に携わる企業の割合が減少し、サービス、あるいは知的財産を生み出す企業で占められ、時代は大きく移り変わっています。

「ビジネス知識をもって街へ出よう」の大切さ

私が学生のみなさんに期待したいのは、まず新聞や雑誌でもよいですから、社会で起きている現象を見て、観察すること。そのためには、大学で学ぶだけではなく、街に出て行くことも勉強のうちであるということを知ってほしいです。「ビジネス知識をもって街へ出よう」です。例えばみなさんがレストランで食事をしていたとします。そこでは単に空腹を満たすだけではなく、隣の人は何を食べているのか、どのような話をしているのか、お店の人はどのような動きをしているのかなど、周りの様子に少し気をつけて観察してみてください。そこに新しいアイデアやビジネスの種を発見することができるかもしれません。

また、これは私の経験なのですが、以前食事の場で、偶然隣の席に座っていた有名プロスポーツチームのスカウト担当の方とお話をする機会がありました。私はスポーツとは無縁の人間ではありますが、日本大学出身の選手の話などをきっかけにして話がはずみ、今も親しくさせてもらっています。外に出るということは、さまざまな学びのチャンスがあるのと同時に、そんな貴重な人脈をつくることにも繋がります。「人脈は金脈」と言われるほど、ビジネスや人生にとって大切なものです。ぜひ自分の目で、耳で、足で、さまざまなチャンスを発見してください。

グローバルな視野をもつこと

「ビジネス知識をもって街へ出よう」は、もちろん国内だけに留まる話ではありません。海外を渡り歩き、グローバルな視野をもつことも非常に大切です。商学部では、アメリカのウエスタンミシガン大学、フランスのオデンシア・ビジネススクール、オーストラリアのモナシュ大学と提携しており、毎年多くの学生が短期留学、長期留学を経験しています。さらに、日本大学全体でもグローバル化へ向けたさまざまな施策を進めているところです。はじめは海外旅行でもよいので、グローバルな視野をもつきっかけをつかんでほしいと思います。

「夢」と「勇気」をもって学生生活を

私のモットーは「夢」と「勇気」です。 かつての「アメリカン・ドリーム」とは言わないまでも、小さな「夢」でもよいですから「夢を抱いて」進み、めげそうになったら「勇気」をもって立ち向かってください。人間が想像できることは、いつか必ず実現できると言われています。「想像=創造(Imagination = Creation)」なのです。それが実現できる人間は非常に価値があると思いますし、そのために私たちは、苦しくても勇気をもって立ち向かわなければいけないと思います。壮大な夢ではなくても、はじめは小さな夢でかまいません。一歩一歩着実に、自分の夢を叶えていってほしいと思います。

また「人間は叱られるうちが花」という言葉も肝に命じてほしいと思います。人から注意を受けたり、叱られたりすることは気持ちのよいものではありませんが、そのことをきっかけにして自分自身を振り返り、さらに上へと伸びるためのチャンスであるととらえてください。先生やご両親をはじめ、尊敬できる人からあえて苦言を呈してもらうことの価値をしっかりと認識しながら、実りある学生生活を送ってほしいと思います。

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