商学部の「商」の字は中国の言葉に起源をもち、「商品の流れ」が生産と消費のバランスをとるという意味から、今日では広く流通という意味でとらえられています。「商品」(財・サービス・知的財産権)の取引は「流通」と呼ばれ、財やサービスが需要と供給のバランスをとるように、さまざまな形態があります。今日では生産されたモノやサービスがあふれて消費されない現象がよく見られます。需要を供給が上回る先進国では「何を」生み出すべきか、つまり「商品」が一番のビジネステーマであり、大きく移り変わる時代に柔軟に対応する姿勢が求められています。

 私が学生のみなさんに期待したいのは、社会で起きている現象を見る、観察すること。そのために大学で学ぶだけではなく、街に出て行くことも勉強のうちであるということを知ってほしいです。「ビジネス知識をもって街へ出よう」です。街を歩いているとき、食事をしているとき、周りの様子に少し気をつけて観察することで、そこに新しいアイデアやビジネスの種、また貴重な人脈を発見することができるかもしれません。また国内だけに留まらず、海外を渡り歩き、グローバルな視野を手に入れることも非常に大切です。商学部は海外の3つの大学と提携しており、平時であれば毎年多くの学生が留学を経験しています。さらに今後、日本大学全体でもグローバル化へ向けたさまざまな施策を進めていきます。

 私のモットーは「夢」と「勇気」です。かつての「アメリカン・ドリーム」とは言わないまでも、小さな「夢」でもよいですから、「夢を抱いて」めげそうになったら「勇気」をもって立ち向かってください。また「人間は叱られるうちが花」という言葉も肝に銘じてほしいと思います。人から注意を受けたり、叱られたりすることは気持ちのよいものではありませんが、そのことをきっかけにして自分自身を振り返り、さらに上へと伸びるためのチャンスであるととらえてください。先生やご両親をはじめ、尊敬できる人からあえて苦言を呈してもらうことの価値をしっかりと認識しながら、実りある学生生活を送ってほしいと思います。

日本大学大学院商学研究科長
日本大学商学部長

嶋 正

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