商学部の「いま」と「これから」

日本大学商学部長 嶋 正

年頭所感

 新年明けましておめでとうございます。皆様におかれましては、新年を迎え、新型コロナウイルス感染症収束後の将来を思い描きながら、新たな一歩を踏み出されたことと存じます。
 昨年は、コロナ禍により、5月よりオンラインで授業を開始し、当初は試行錯誤の連続でしたが、皆様のご理解とご協力により、何とか軌道に乗せることができました。コロナ禍は忌むべき災禍ではあるものの、それによって、様々なソフトウェアの利便性を知り、その教育効果を実感できたことは、大学にとって大きな収穫であったといえます。
 さて、今年は、本学部も、面接授業とオンライン授業を併用するハイブリッド型授業に挑戦することになります。まだまだ活気溢れるキャンパスを取り戻すことはできませんが、新たな学修形態が新しい商学部をきっと見出すことと思います。
 「夢と勇気」。これさえあれば必ず道は開けます。学生の皆様の夢が叶うよう、教職員一丸となってサポートいたしますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。

特別対談 オンライン授業への取組み 学務委員会委員長 保苅 佳昭 教授 × 教務課 土井 茂 課長

特別対談

オンライン授業への取組み 学務委員会委員長 保苅 佳昭 教授 × 教務課 土井 茂 課長

新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、大きく様変わりした商学部の授業。様々な不安や混乱がありながらもスタートしたオンラインによる授業運営は、今どのような状態にあり、今後はどう変わっていくのでしょうか。学務委員会委員長の保苅佳昭教授と教務課の土井茂課長に語っていただきました。

不安や混乱の中、より良いオンライン授業の模索

保苅:
私は現在、Zoomを利用したオンライン授業を行っています。画面を通してですが、同時双方向というかたちで学生と向き合いながら、共有画面で資料を提示しつつ、私が様々な説明を加えていくというやり方で授業を進めています。対面の授業であれば学生の顔色や動きを見ながら進められますので、反応が薄ければもっと違う形で説明をする、というようなことも考えられますが、画面を通しての授業となると、果たして自分の話がどこまで学生に通じているのか、感触をつかみづらい部分はあります。私と同じように、学生がどう思っているか伝わってこない、授業をやっている実感が薄いと感じている先生も多くいらっしゃいます。
土井:
事務局ではこれまでに、学生や保護者の方々から様々な要望、そして苦言もいただきました。当初はオンライン授業を行うにあたっての送受信環境などインフラについて、その後は授業の内容ややり方について。それも前学期が終わるころには、基本的な授業運営に関する問い合わせは、ほぼなくなっていきました。環境が整備され、それを使う先生方や学生の皆さんも手慣れてきたと言えるのではないでしょうか。また、本学部の約3割の学生は遠方に在住していて、地域によって各々事情が異なることが分かりました。これは極端な例かもしれませんが、とある地域では、家族が地元から東京へ行き再度戻ってきた家では、高齢者のデイケアが2週間受けられないというルールがあるのだそうです。そんな事情から学校に行きたくても行けない学生がいるということを今回初めて知りました。何事も東京を基準に考えてしまいがちですが、世の中には我々の知らない様々な事情があるということを念頭において、学生の皆さんの意見を聞きながら、今後の授業展開に生かしていきたいと思います。

距離や時間を補うことができる、オンラインならではのメリットも距離や時間を補うことができる、オンラインならではのメリットも

保苅:
新型コロナウイルスの感染拡大防止のために採用されたオンライン授業ではありましたが、実際に運用してみると様々なメリットもあることが見えてきました。ひとつはやはり、学生にとっては自宅でゆっくりと授業が受けられるということ。大勢が参加する大教室での授業よりも、もしかしたら教育環境としては良いのかもしれないと感じています。また通学に多くの時間を費やしている学生も少なからずいるので、自宅で気軽に授業が受けられるということは魅力なのではないでしょうか。
土井:
これまではレポートを提出するためだけに、数時間かけてキャンパスへ出てこなければいけないということもありましたが、今はデータを送信すれば済むわけですから、この変化は大きいと思います。他には、授業によっては教室のキャパシティのために参加できる学生数が限られていたものが、オンライン授業であればかなり緩和できるということです。椅子の数の都合によって受けたい授業が受けられないという状況は、大幅に改善できると考えています。

人と人との対面の機会はやはり必要さらなるインフラ整備も

保苅:
一方で、やはり改善すべき点も見えてきたと思います。いちばんの問題は、学生と教員、学生と学生とが直に接していないという点です。特に1年生は、入学してからキャンパスに足を踏み入れる機会がほとんどないですし、同じクラスの学生と直に話す機会も少ないでしょう。大学の友人は、成人になればお酒を酌み交わし、多くのことを語り合ったり、社会に出てからも再会する機会が多かったりと、生涯の友人になり得る。だから友人づくりは勉強と同じくらい大切なんだと学生に話をしているのですが、このような状況ですとなかなか難しいです。また教員と学生との間でも、授業後に気軽に質問する、雑談をするといったことができません。画面越しやメールでの会話になってしまいますから、少しでもコミュニケーションの機会を増やしていけるよう対策が必要だと思っています。
土井:
文部科学省からの指導もあり、今後は半数以上の授業を対面に戻すよう動いていくと思います。ですから、ある程度は交流の機会も増えていくとは思いますが、ここで新たな課題も出てきます。面接授業とオンライン授業を交互にやっていくということは、学生によっては1時限をオンライン、2時限を対面で受けるということも想定されます。1時限を自宅で、2時限を教室で受けるということは物理的に不可能ですので、その学生は1時限をキャンパス内でオンライン受講するということになります。そのような受講スタイルを実現させるためには、キャンパス内のインフラ環境をさらに整備する必要があるということです。キャンパスにいる学生全員がアクセスしても耐えうる通信環境、強化というより根本的にやり直すくらいの大規模な改修工事になりますが、必ず取り組まなければいけない問題です。

対面とオンラインのハイブリッド新しいスタンダードの先に、便利で豊かな未来が

保苅:
今後については、当然のことですが安全・健康が第一、これが最優先課題であるということは変わらないと思います。それをベースにしつつ、いかに良い学修環境を作っていくかが我々の使命であると感じています。これまでの経験を踏まえながら、対面でなければ教育効果が充分に得られない科目とは何か、また対面よりもオンラインの方が教育効果の上がる科目はどれなのか。各先生方へご協力をお願いしながら、良い方向へ向かうための基本路線を組み立てて、少しでも近づけていけるよう尽力したいと思います。面接授業の良さも、オンライン授業の良さも取り入れた、まさにハイブリッド型の授業運営を目指していきたいと思います。
土井:
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて、様々な変化に対応する時間がほとんどなかったというのが正直なところです。それでもオンライン授業をはじめとする、インターネットを活用した新しいツールの便利さや有用性を知ることができました。これらのツールや今回手に入れた知識・スキルを活用することで、学生の皆さんに対しても、学部運営や授業に対しても、さらに良い状況を生み出していきたいと思います。今回生まれた新しいスタンダード。その先に、より便利で、より豊かな未来があるかもしれないと考えて、今後もやっていきたいと思います。
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